北東北方面一人で予定なしのブラブラ温泉巡りドライブその9、鶯宿温泉「うぐいす旅館」で激安素泊まりして自噴泉にたっぷり浸かる。さらに東京へ戻る途中にもう1泊してしまった
8月30日に宿泊したのは岩手県雫石の鶯宿温泉に
ひっそりと存在する自炊宿「うぐいす旅館」だ。今
年の7月に初めて日帰り入浴して、鄙びの雰囲気、
自噴泉の混浴風呂の素晴らしい湯にすっかりお気に
入りになった旅館で、今回宿泊するならここは入れ
ようと最初から思っていた宿。
通された部屋は玄関から数段の階段を上がったすぐ
の部屋で、変形四角形の実質5畳ぐらいの部屋。畳
は汚くはないが、一部床の弱さからかちょっとぶよ
ぶよ。古びた廃棄物寸前の茶箪笥にリモコン付き1
4インチテレビ(テレビは宿泊1日400円で、見
ないなら断れる)が。カーテンはわりに新しめのま
さしくうぐいす色で、それだけが鄙びの中で異彩を
放っている。ポットに熱い湯とお茶セットの用意。
シーツもノリが効いて気持ち良いのが準備されてい
る。確かに建物も部屋も古いが、別に居心地が悪い
ということではなく、古びた田舎の家に泊まった感
じか。その古さが上質な侘び寂びにまで昇華してい
ないだけで。先日宿泊した湯の花温泉の300年経
つ民家の民宿「本家亀屋」などはその古さを活かし
ながら、清潔感あるリフォームで上質な和の空間に
なっていたのとの違いだ。
それにも関わらず、この旅館の素晴らしいのはなん
と言ってもすぐそばを流れる川床とほぼ同じ高さに
湯船の底がある浴室。玄関から階段を2段階に降り
て行く地下にある。造りはかなり年代を感じさせる
もので、途中の階段部分は生活感がにじむのだが、
造りは意外にしっかりしている。薄暗い地下へ降り
て行く浴室へのアプローチが堪らなく素晴らしい。
階段から即浴室で、すぐ脱衣棚があり、その横に木
のベンチが。その脱衣場から石の階段を3段ほど下
りた部分が湯舟。湯舟はコンクリ造りの長方形で、
10人程度は余裕で入浴可能な旅館自体の大きさか
らは想像できなほど大きい。しかも天井がかなり高
いので湯気がこもらず気持ち良い。脱衣場も男女一
緒で、しかも湯舟から見上げる形になるので女性に
はかなり厳しい。女性が入って来た時には男性は脱
衣場から視線を逸らせる配慮が必要だ。
湯船の底には大小の石がゴロゴロと敷き詰められて
いて、その石の合間から2カ所ほど自噴する新鮮な
湯がブクブクと泡を立てて吹き上げている。湯舟に
は3本のホースが入っていて、1本が自噴泉の湯量
を補うための鶯宿温泉の共同源泉の熱い湯、他の2
本が水。自噴泉なのだが、大規模施設が出来たりし
てから自噴量が減少して、ホースで別源泉を投入し
ているのだ。湯温が熱いので加水は必至、それでも
かなり湯温は高い。肌がヌルヌルするような湯では
なく、肌に優しいさらりとした感じ。単純硫黄泉の
ようだが、ほとんど単純泉の感じでもあり、入浴後
は肌がつやつやになる。女将によると、自噴泉の量
は以前より確かに減少はしているが、今でもホース
で加えている共同源泉より量的には多く自噴してい
るとか。夜中などかなりの量の泡が立ち、湯が盛り
上がるほどに自噴していているのが判る。ところで、
煙突のように見えるパイプは排水するときに横に倒
して排水できるとか。ここまで自己主張する排水パ
イプは稀有。
ここの日帰り入浴料金は200円。この湯が味わえ
ると思うと激安。さらに宿泊するとその安さにびっ
くりだ。基本宿泊料金が1200円。それに布団代
金500円、浴衣代金300円、入湯税75円、テ
レビ400円などが加わって行く計算。今回利用し
たのは基本料金に布団だけ。浴衣はあまり好きでな
く、パジャマ形式の方を好むためだ。また、テレビ
も利用しなかったので、宿泊料金は1775円とい
うことだ。極上の温泉を宿泊中自由に利用できて、
これってあまりに安すぎないか。でも、まあ施設は
すぐそばの観光バスで団体さんも大量に来る巨大旅
館「長栄館」に比べるとボロ小屋みたいなものだが。
あと食事は朝夕食とも頼めば作ってもらえる。朝食
は食べないので夕食だけ頼んだが、家庭料理の定食
風でたった500円。魚の煮たもの(これが薄味で
美味しかったというより、普通の家庭料理でご飯を
含めすべて美味しい)、山菜などの煮物、ネギのヌ
タ、キュウリのお新香、みそ汁、ご飯で私には必要
充分な量でしかも美味しかった。夕食付きの1泊す
べてで支払額は2275円。今時信じられない良心
的な料金設定の宿だった。旅館によっては高い宿泊
料金を払った上に、小さい貸し切り風呂を1時間借
りて3000円なんてぼったくりのところもある。
それが、素晴らしい広々した自噴泉風呂を夜ならた
いてい貸し切りで入れてこの値段。もうここの宿泊
は鉛温泉・藤三旅館と並んでくせになりそうだ。
さらにその数日後、谷地温泉に宿泊した翌日の9月
3日に猿倉温泉に蔦温泉と入浴したあと、どの方面
へ行くか思案していたら、蔦温泉の自噴泉のあとは
もう日帰り入浴はいいやという気分になり、時間的
に計算すると午後4時頃には盛岡か田沢湖辺りに行
けるようなので、それではお気に入りになった鶯宿
温泉の「うぐいす旅館」にまたまた宿泊して、蔦温
泉の次の温泉も自噴泉だと9月3日もうぐいす旅館
に宿泊だと午後2時過ぎに直前予約。国道282号
線を一気に走って盛岡経由で鶯宿温泉へ。午後5時
にはチェックインしてまたまた自噴泉をたっぷりと
味わう。谷地温泉、蔦温泉、うぐいす旅館とまった
く贅沢な自噴泉連湯となった。場所的にも便利な地
点にあるので、ここと鉛温泉・藤三旅館での湯治パ
ック(2食付きで4000円ほど)や大沢温泉の自
炊部で宿泊して湯巡り基地にするのも良いかもしれ
ない。
PS:10月に入って紅葉を見るのも兼ねて、この旅館
にまた宿泊に行きたいなと思ってググってみたら、こ
の旅館の湯舟のことをなんと自噴まがいの偽物と書い
ているアホを発見した。その温泉記事によると「 浴
槽の底からコンコンとお湯が湧き出ています。ここ
の湯船は以前は『足元自噴』だったのですが、今はひ
き湯を足元から出している、なんちゃって自噴演出」
なんて書いている。ここまでアホ書くと呆れるしかな
い。“ひき湯を足元から出している”というのはあの
湯舟を見れば普通考えられないだろうが。湯舟は川の
岩盤上にそのまま湯舟を設置したようなもので、ひき
湯を湯舟の底から出すなんてそんなことカネが莫大に
かかるだけろうが。それでなくても素泊まり1200
円の超良心的価格で営業している旅館だ。そんな金が
どこから出せるか。自噴はしているんだよ。ただ少し
減少したから別源泉をホースで追加している訳だ。
“なんちゃって自噴演出”なんてのは嘘八百、良心的
な旅館の営業妨害じゃねえか。こんないい加減な記事
を書くこの馬鹿の他の温泉の記事もまがい物ってか。
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