岩手宮城内陸地震で水没状態の湯の倉温泉・湯栄館の悲惨な状況には言葉もない
岩手宮城内陸地震で栗駒山周辺の秘湯的温泉がかなり
の被害を受け、駒の湯温泉は完全に崩壊して数人の死
者が出る悲惨な事態となったが、花山温泉郷の山奥に
あるランプの宿として人気のあった湯の倉温泉「湯栄
館」も地震で出来た土砂ダムのために日々水没の状況
が加速しているようだ。
テレビやネットでの同温泉の写真を見ていると、最初
は被害を免れたかと思っていたのが、土砂ダムのため
に川のすぐそばにある旅館は水没の度が増し、今日の
朝日新聞の記事を見て見たら2階のかなり上まで水没
が進み、ほぼ全体が水没してしまいそうな状況で、写
真を見るとあまりの惨さに言葉もない。
同温泉に行くには国道398号線から脇道を入り、さら
に歩いて行くしかない電気もないまさにランプだけの秘
湯。旅館のすぐそばにある清流沿いの岩造りの露天風呂
が最高の温泉だ。行くのがちょっと面倒なために、39
8号線を何回も通りながら日帰り入浴したのが6年ほど
前の一度だけ。一度は宿泊で行きたかった宿だけに今回
の惨事は言葉もない。経営者家族の方々が無事だったの
が不幸中の幸いか。
朝日新聞の記事では経営者の8代目主人である三塚倉雄
さんが「先代たちに顔向けできない」と落胆するインタビュー
が出ている。温泉の本によると、湯栄館の創業は文政3年18
20年となっていて、実に200年に近くにもなる歴史ある旅
館だ。それがわずか数秒の地震でこのような事態になるとは、
自然はなんと惨い仕打ちをするのだろう。
地震当日の模様は「地震が起きた14日朝、三塚さんは調理場
で、この日来る宿泊客のための料理の下ごしらえをしていた。
下から激しく突き上げられ、体が飛ばされそうになった。茶の
間の柱にすがるようにつかまった。 数年前のくも膜下出血で、
体が不自由になった妻の洋子さん(68)を引きずるように連
れて宿から脱出した。崩れ落ちた岩が転がる山道を歩き、途中
で迎えに来た長男泉さん(39)と合流。宿を出てから約11
時間後、やっと国道にたどりついた。」と書かれている。
さらに三塚倉雄さんは「200年近く続いた旅館が、おれの代
で水の底に入っちゃった。天災だけど、先代にも全国のファン
にも申し訳ない。つらいなんてものじゃない。せめて建物が壊
れず頑張り続けてほしい」と無念な思いを語っている。あの地
域の素晴らしい温泉や穏やかで癒される美しい景観が大好きな
だけに涙なくして聞けない言葉だ。
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